ヘルスケアビジネスで成功するマーケティング|新ビジネスの種

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2016年5月18日

第1回  すべての企業と自治体がヘルスケアビジネスする時代

時代の波はヘルスケアへ

ヘルスケアって薬臭い!と言っているようでは、ビジネスセンスがなさすぎます。
成長戦略の要として、政府も企業も自治体も必ず名前を挙げる「ヘルスケア」の、ホントの「ビジネス」領域を知っているでしょうか。

確かに、薬が貢献する「治療」(Medical)はその代表格です。でも、正しくは「代表格でした」という過去形。世の中は治療から予防医療へと大きくシフトしています。いま、声高らかにヘルスケアを語るのは、厚生労働省ではなく、経済産業省。経済産業省は、“次世代ヘルスケア産業"という期待値が高そうな用語を巧みに使いながら、地方自治体と中小企業に向けた「地域ヘルスケアビジネス創出支援」や、株式公開企業を対象にした「健康経営銘柄」といった具合に、新たなヘルスケアビジネスを創出する機会を次々と提供し、それを支援するための事業を積極的に推し進めています。

ヘルスケアは、治療(Medical)+予防・保健(Health)+健康(Wellness)+美容(Beauty)といった4つを一括りに、その商材として商品、サービス、施設という3つから成る、4×3=12の「ビジネス」を構想する超ビッグで超イケてる領域となっているのです。

ヘルスケアビジネスにマーケティングを

中小・ベンチャー企業も、精緻なマーケティングの設計図を描くことによって、ヘルスケアビジネスで成功できます。

マーケティングは、“価値を伝える ▶ 価値が伝わる"ようにするための手法です。あなたの「正しいもの」を、あの人の「いいもの」に変換します。

ですから、マーケティングという手法は本来、「人」(顧客、消費者、生活者)をターゲットにしてその最大効果を発揮しますが、いまだ「疾患」(病名)をターゲットにしている医療の世界は、疾患名のその先に隠れて「人」(患者、未病者)が置かれている感があり、どうもビジネスにマーケティングを導入することを二の次に考える医療関係者が多いように感じます。

近い将来、すべてのヘルスケアビジネスがマーケティングという手法と邂逅することで、生活者の“ゆめのある・しあわせの・きっかけを"追求しながら、ビジネスの可能性は果てしなく発展していくことでしょう。

そんな変化を敏感に感じ取り、ヘルスケアビジネスを考え始める人たちがいます。

保険会社は、病気を対象にする保険商品に限界を感じ始め、これからは病気でなく、健康や美容を対象にするような商品開発を急いでいます。

IT企業は、IoT時代のビジネスチャンスを睨み、また地方自治体は、地元の特産品を機能性表示食品にダイナミックに換えるビジネスチャンスを狙っています。前者のIoTはサービス創造によるコトづくり、後者の地方自治体は商品開発によるモノづくりとなります。そして、両者ともに保険会社同様、健康・美容をテーマにしています。これらの動きは、ビジネス開発において明らかに「人」(顧客、消費者、生活者)をターゲットとしている証であり、マーケティング介入の大いなる可能性を感じます。

さて、このシリーズでは、どんなビジネスにも応用可能で再現性に富むマーケティングについて解説していきます。次回以降は、商品開発、サービス創造をBRAND+ingから検証し、次に市場戦略、販路開拓をMARKET+ing、顧客獲得をTARGET+ingから解説し、“精緻な設計図"の描き方を示します。そして、それらを踏まえて、広告プロモーション、戦略PRを最適化するCOMMUNICATIONの術を伝授していくことに致します。

執筆者:西根英一(株式会社ヘルスケア・ビジネスナレッジ 代表取締役社長、マッキャン・ワールドグループ 顧問、事業構想大学院大学事業構想研究所 客員教授)
編集人・編集責任者:武坂

西根英一氏

<プロフィール>
マーケティングデザイン開発とコミュニケーションデザイン設計の専門家。商品開発、サービス創造をはじめ、市場戦略、販路開拓、顧客獲得のための“精緻な設計図”を描き、広告プロモーション、戦略PRを最適化する。近著に、『生活者ニーズから発想する健康・美容ビジネス「マーケティングの基本」』(宣伝会議)。 大塚グループ、電通グループを経て、マッキャン・ワールドグループ。大手企業、全国の中小企業のヘルスケアビジネスをマーケティング戦略面からコンサルテーション、地方自治体の地域ヘルスプロモーションを支援する。各種研究機関の役員、委員も務める。大学教員(専門:ヘルスケアマーケティング、若者マーケット)。講演登壇、番組出演、教育研修の機会多数。