ヘルスケアビジネスで成功するマーケティング|新ビジネスの種

ライフサポート展2017

2016年11月16日

第7回 ヘルスケアビジネスのVISIONとMISSION

君のビジョンとミッションは何だい?

ときに、私たちはこの響きのよく似た横文字に酔ってしまいがちです。酒の席で語ろうものならなおさらのこと、上等なつまみになって、ますます酔いが回ります。酔えば酔うほどに、さらに「夢」を語り始めます。

でも、ビジョンって単なる「夢物語」でなく、「ちゃんと見えるもの」でなくてはなりません。だからこそ、visionary business(先を見据えたビジネス)みたいな言葉があります。
もうひとつの「ミッション」。口にするとカッコいい言葉です。が、これもこれで厄介です。語感がきれいなのに、意味を解せない。難語中の難語です。私が勝手にお友達と思い込んでいる岩田松雄さん(元・スターバックスコーヒージャパンCEO)が書いた『ミッション』という本が大ヒットしました。きっと言葉がもつ響きの良さと難解さの、その乖離したスキ間を埋めたい人が世の中にとても多かったのでしょう。

健康や美容をテーマにするヘルスケアビジネスにおいても、このビジョンとミッションは大切です。

私は、この精神世界を浮遊しているかのような「ビジョン」と「ミッション」という言葉、特にヘルスケアビジネスでは好んで語られることの多いこの言葉について、ビジネスの世界では「KGI」(Key Goal Indicator)と「KPI」(Key Performance Indicators)に、アカデミアの世界では「目的変数」と「説明変数」に置き換えられるとみています。

たとえば、アカデミアの世界の話。求め出したい“健康度”を目的変数と設定すれば、そのために“身体的健康”(physical health)、“精神的健康”(mental health)、“社会的健康”(social health)等を計測するという行為のもとに、複数の説明変数の算出が必要になります。

たとえば、ビジネスの世界の話。“この薬剤の登場をもってして〇〇治療が確立したと言える”を崇高なるKGIと設定した場合、その薬剤の有効性や安全性から成る“評価”、期待値や満足度から成る“評判”、さらに社会性や倫理性などに照らして、薬剤認知度、処方率や売上げ、治療満足度等、数値目標なる複数のKPIを目標に据えます。これらKPIの総合計によって、ひとつのKGIが達成されるというわけです。

つまり、私たちが提供するヘルスケアビジネスをもって、“〇〇したいビジョン”に到達するために、“〇〇すべきミッション”があるという解釈ができます。

ヘルスケアの事業構想

「事業構想」(project design)とは、ゴールとして思い描く成功のイメージです。多くの場合、絵画的な目標になるでしょう。なので、他人は“絵空事(えそらごと)”と揶揄したりもしますが、気にしないで、理想像となるBig Mapを描きましょう。

重要なのは、その事業構想からバックキャスティング(未来から逆算)して、到達すべき課題を数字的な目標に置き換えて設定することです。いつまでにいくつまでやり遂げるとか。これこそが「事業計画」や中期経営計画と呼ばれるものです。

つまり、「事業構想」を因数分解で捉え、(事業構想)=(事業計画①)(事業計画②)(事業計画③)…とすることが大事なのです。

事業計画①+事業計画②+事業計画③…の結果、目標到達を目指しましょう!みたいな積み上げ方式では、必ず“積み残し”が生じてしまいます。その点、ヘルスケアビジネスは崇高な「事業構想」から始まることが多いので、バックキャスティングしやすいはずです。そして、ヘルスケアビジネスに長けることで、その他多くのビジネスをうまくやってのける能力を身につけることができるはずです。

この事業構想なる考え方は、事業構想大学院大学(本部: 東京表参道)の小塩篤史教授らの知恵の結晶です。ちなみに、私も事業構想大学院大学で、「ヘルスケア」の事業構想を担当することになりました。お知らせまで。

執筆者:西根英一(株式会社ヘルスケア・ビジネスナレッジ 代表取締役社長、マッキャン・ワールドグループ 顧問、事業構想大学院大学事業構想研究所 客員教授)
編集人・編集責任者:武坂

西根英一氏

<プロフィール>
マーケティングデザイン開発とコミュニケーションデザイン設計の専門家。商品開発、サービス創造をはじめ、市場戦略、販路開拓、顧客獲得のための“精緻な設計図”を描き、広告プロモーション、戦略PRを最適化する。近著に、『生活者ニーズから発想する健康・美容ビジネス「マーケティングの基本」』(宣伝会議)。 大塚グループ、電通グループを経て、マッキャン・ワールドグループ。大手企業、全国の中小企業のヘルスケアビジネスをマーケティング戦略面からコンサルテーション、地方自治体の地域ヘルスプロモーションを支援する。各種研究機関の役員、委員も務める。大学教員(専門:ヘルスケアマーケティング、若者マーケット)。講演登壇、番組出演、教育研修の機会多数。