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ライフサポート展2017

2016年3月15日

2018年の診療報酬と介護報酬ダブル改定でいったい何が変わるのか(2)~狙い目は人材確保、費用対効果の高い予防・リハビリビジネス?!~

前月(2018年の診療報酬と介護報酬ダブル改定でいったい何が変わるのか~進む医療と福祉の一体化、柱は、地域包括ケアシステム・病院機能再編・地域医療構想~)では、2018年に節目を迎える医療・介護施策の方向性について紹介した。

今月は、前月に引き続いて、2018年の医療・介護制度改革について検討する。

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1.医療・介護の施策ツールと課題

前月は2025年のあるべき姿等のビジョンを紹介したが、それを実際に達成していくための施策ツール類-計画策定、実行、評価、改善・再実行のPDCAに係るしくみをさらに整理する。

※本稿の主な想定読者層は医療・介護事業者ではないため、念のため補足すると、厚生行政では、医療や介護の需要をターゲット毎に設定して、それに対して必要なサービス量と提供体制を推計する手法に何十年も継続的に取り組んでいる。そして、制度改正の度に、ターゲットや提供主体の対象範囲や区分、提供主体(民間も含めていく等)、法規制の緩和、事業主体や会議体の創設、評価方法(成果報酬の導入も含む)、さらには、診療報酬や介護報酬といった観点を調整することで、国全体における費用対効果の最適な資源配分モデルを試行錯誤している。これらのほんの少しのさじ加減が、毎回、参入事業者の経営に大きな影響を与えている(例えば、2015年4月の介護報酬引下げを機に東京都内で数百か所の事業所が閉鎖されたともいわれる)。

国が想定する今後のスケジュールは、図表1の様になっている。全体としては、各計画の関係性や開始・見直しのタイミングを俯瞰して頂きたいが、中でも特に、下段の地方自治体にある、医療計画と介護保険事業(支援)計画に注目したい。

医療計画は、医療提供体制の確保を目的に、病床数の管理や連携状況・安全面の評価を行うものである。今回の見直しの視点は、「在宅医療に係る医療体制の充実・強化」、「在宅医療に係る圏域の設定」、「疾病・事業ごとのPDCAサイクルの推進」、と在宅医療を重視した内容となっている。

一方、介護保険事業(支援)計画は、市町村がサービス提供区域を設定し、各区域毎に必要なサービス量やマンパワーを算定し、それに基づいて、都道府県が複数市町村にまたがる老人保健福祉区域(41都道府県では二次医療圏と一致している)を設定し、市町村からあがってきた計画をとりまとめ、それぞれをチェックしたり、事業者の許認可等を行ったりする。

いずれにしても、医療計画と介護保険事業(支援)計画を、サービス需要・提供量ともに、一体的に連携させることがめざされている。

図表1 医療・介護提供体制の見直しに係る今後のスケジュール

医療・介護提供体制の見直しに係る今後のスケジュール

注)緑色:医療分野、茶色:介護分野

出所)医療・介護分野の改革の進捗状況について(厚生労働省資料)

ところで、医療や介護の提供体制強化といっても、実際には国や自治体が実施するわけではなく、選択するのは医療機関や介護事業者である(そもそも、自治体に対しては、計画中で設定した目標が未達成であったり、進捗が遅れても、国から罰則規定などは課されていない。ただし、計画が反映された保険財政が赤字、あるいは、極端な黒字となると、事務作業量が膨大となったり、激しい批判が予想されたりするため、そうならないように注意する必要はある)

そこで、各医療/介護行為や実施体制等に対して1点/1単位で10円で点数・価格をつけたのが診療報酬/介護報酬である。言わずもがなであるが、これらの報酬は、最も有力な施策誘導ツールである。医療法人や社会福祉法人は少しでも経営的にプラスとなるように、高い報酬のサービスや人員配置、設備等に移っていく。そこで、国がビジョンにあわせて、報酬を増減させることで、サービス提供量をコントロールしている。例えば、市場が飽和して過当競争になっていたり、内部留保等などが他よりも多くなってきたりしたサービスについては、報酬を減らし、逆に、在宅へと言う流れを実現するために増やして欲しい病床や機能については報酬を増やす、といった具合である。

それぞれの報酬が2018年にどのようになっていくのかという各論については、今後のやり取りの紆余曲折が予想されて現実的ではないため割愛するが、要は、前月・今月で示した様なビジョンやツールに対応する形で増減がなされる。

なお、施策の大きな方向性は、医療機関・介護施設から在宅や地域へという流れであり、給付は全体としては抑制される傾向にある。それらのビジネスチャンスについては過去号も参考になれば幸いである。

<本稿関連記事>

2.足りない専門職、財源、新しいビジネスのチャンスが?!

ところで、ここまで紹介した施策の実施に当っては、予算、マンパワーともに不足しているとお伝えした。一般的には、困りごと=ビジネスチャンスである。施設や人的資源が乏しい地域においては、外部の担い手が必要とされ、特に、効率化に資するコンテンツを持っていれば、新たな事業者の参入機会が増えるケースも出てくるはずである。

法人(医療・介護事業者)、個人(地域住民)ごとに、どのような点で困りそうか、検討してみた。

【医療・介護事業者向け】

<悩みの例>

  • ただでさえ離職率が高いのに、人材の確保が大変、リクルーティングや研修のコストもばかにならない。しかも、これからは、在宅医療や介護分野の専門知識も備えた医師や看護師の教育・確保が必要になる
  • 人手があまりかからなくて、費用が安い割に予防やリハビリの効果が高い健康プログラムはないか
  • 高齢者住宅の入居者率アップや、入居者満足度アップにつながるプログラムやサービスはないか

※上記は、在宅復帰率等と報酬が連動するような場合。逆に、要介護度の高い人のケアに手厚い報酬が設定されている場合はこの限りではない。

「良くも悪くも、経営や現場の体制が施策に左右されて大変、安定収入やリスク分散しておきたい」

<考えられるビジネスの例>

  • 見守り(徘徊等含む)、コミュニケーション、レクリエーション/情報管理/移乗・移動、排泄(トイレの立ち上がり等も含む)等を支援する機器・ロボット・管理システム
  • 医師・潜在看護師、潜在ヘルパー向け、復帰教育・専門教育
  • 潜在看護師、潜在ヘルパー等を含めた人材発掘・活用システム、最適配置・管理システム、人材開発プログラム
  • 最先端の健康理論、健康法、施設に合わせたメニュー開発
  • 介護コンビニ等、新業態開発 /等

【高齢者個人向け】

<悩みの例>

  • 在宅でケアしてもらえるといっても、寝たきり、認知症になりたくない
  • 家族や周囲への迷惑にならず、廉価で利用できるサービスはないか
  • 元気なうちは人の役に立ちたい。でも、いきなり要介護や要支援の人のお世話はハードルが高い

<考えられるビジネスの例>

  • 最先端の健康理論に基づいたアプリ開発、健康法
  • サプリメント(特に労力の少ないもの、簡単なもの、即効性の高いもの)
  • 初心者向け医療・介護・事業運営講座、支援ビジネス  /等

【その他(自治体等)】

<悩みの例>

  • サービスを提供する事業者、マンパワーが集まらない
    特に、採算的に厳しいといわれるサービスはその傾向が顕著
  • 配食サービス等もやりたいが、お金がかかりすぎる。軽度の人向けのそれ以外の生活援助もどこまでやればいいのか判断がつかない
  • 山間部では買い物難民が増えている。バスの廃止で移動支援もすぐに必要
  • 高齢者はゴミ出しが重くてできないから、戸別訪問しているが、手間もコストもかかる
  • 福祉機器は専門職にも意外と知られておらず、実物を見たこともないため導入も進まない。もっと周知したい
  • 本当にその人にあったサービスが提供されているのか、見極め難い、事業者の提案を精査し難い

<考えられるビジネスの例>

国や自治体の予算によりけりな部分があるため一概には言えないが、低コストで効率的に事業を運営できる委託先が求められる。例えば、小規模多機能、配食サービス、巡回型小売り業、ゴミ収集事業者、福祉機器流通、看護師等専門職派遣等。

今後は、より各論において具体的に推進されていくことになるが、特に、施策の方針の策定に当って、関係者の意見を反映する目的で設置された医療介護総合確保促進会議の動きを注視する必要がある。

編集人・編集責任者:武坂
編集協力:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社