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2013年3月19日

高齢者在宅介護における実態調査

はじめに | 第1章 調査の概要 | 第2章 在宅介護に関する実態調査 | 第3章 まとめ

第3章 まとめ

3−1.今後の在宅介護における課題解決に向けて

現在、介護問題を社会問題として捉え、産官学を問わず、様々な方面から解決に向けて活動しているが、手つかずの課題も多いといえる。今回の調査で得られた結果は、あくまでも現場の声であり、実態の一部である。これらの意見から課題を解決するための仮説を立て、それを検証していくことが、在宅介護分野への参入を検討している様々な業種の企業に必要であるといえる。

例えば、在宅介護では、その介護現場である住まいが、顕在化している課題の要因に大きく起因している。前述したように、入浴について「入浴拒否」の要因となっていると思われる「脱衣場と風呂場の温度差」「浴室出入り口の段差の軽減」は、構造上の問題である。また、排泄の問題における「トイレまでの移動」について、「ドアの開閉がスライド式ではない」、「車椅子での移動ができない」等も同様である。これらのことは、介護を受ける側、介護をする側の両者にとって身体的負担になり、精神的負担になっている。これらを解決するには、住宅メーカーは、在宅介護の実態を適切に把握したうえで、設計、施工することが有効である可能性がある。

また、機械化・ITについては、人の手によることが尊厳を守り、人間同士のコミュニケーションを図ることが重要であるといった意見が多いものの、今後在宅介護における「老老介護」が増加することを鑑みれば、介護する側の負担を軽減するために一部機械化によることは、必ずしも否定的なものにならないと考えられる。

そして、医療分野については、既に介護と医療の連携は始まっているが、介護の形態は様々であり、また今後も変化していくものと思われる。そのために、在宅介護等、介護の形態に合わせた連携が必要となる。

以上のように、本報告書で顕在化した声や課題をもとに様々な仮説をたてることが可能である。そして、その仮説やニーズにもとづく解決策こそ、シーズ視点ではない、現場の課題に合致した製品やサービスとなる可能性が高いと言える。本報告書が、そのきっかけになれば幸いである。

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