とても大切に育ててきた魚がいるとします。そろそろ海に帰してあげたい。そう思うとき、僕らは海を探しに行きます。放った瞬間、先にいた魚たちに食われてしまいそうな海には決して放したりしません。
大切に育てた魚が「商品」、放たれる海が「市場」です。しかし、ビジネスを考えると、育てた「魚」のことは気にかけても、放つ「海」を選ぶことを大して気にしていない人たちがとても多いことに気づきます。彼らはえてして、仲間が集まっている市場、本当は飽和して酸欠状態の市場で、大切な商品を売ることを決心します。
この市場を「レッドオーシャン」市場と言います。入った瞬間から殴り合い、蹴り合い、血で血を洗うような市場です。ここでまず起こるのは、「市場競争」という名のシェア争いです。既存既知が特徴のレッドオーシャン市場は、確かに“素人目”的には、出品すればそれなりに売れる市場に見えます。同じようなものが売れている市場だからです。しかしそこは、群雄割拠の戦国時代なのです。
であるなら、どんな「海」を探しに行けばいいのでしょう。
《既存既知》の市場でないとすれば、言葉遊びの延長で、《既存放置》の市場、《新規未知》の市場というものがあるはずだ!と気づくはずです。 もう少しイメージしやすいように、既存放置の市場を“手つかずの市場”、新規未知の市場を“気づかずの市場”と僕は名付けています。既存既知の市場で「市場競争」が起きるように、既存放置の市場では「市場開拓」、新規未知の市場では「市場開発」が行われます。