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実験プロセスのデジタル化により材料業界の競争力向上に貢献

PROJECT
実験化学の圧倒的な効率化を実現する「SoluVision」
COMPANY
株式会社 Material Doors

実験プロセスのデジタル化により材料業界の競争力向上に貢献

最短3分で、約20万通り以上の組み合わせから溶媒を提案。実験化学者を悩ませてきた「材料の親和性」の課題を解決し、研究開発のコストや期間の削減を実現させる。

材料デバイス業界で活躍する実験化学者たちを支援。

― 認定プロジェクトについて教えてください。
白瀧 我々が提供する「SoluVision」は、実験化学者向けクラウド型ソフトウェアサービスで、実験化学者歴10年以上の知見と物理化学の知識、情報科学の解決スキルにより開発しました。対象となるのは、国内の製造業では自動車産業に次ぐGDPがあり、日本の製造業を支えている材料デバイス業界です。この業界では研究開発に莫大な時間とコストがかかるという点に長年苦しめられてきました。一つの医薬品の開発に500億円が必要といわれ、材料を作るには無数の組み合わせがあるため材料研究者の経験と勘に基づいて試行錯誤しているのが現状です。私の周りにも40年間研究開発してきたものの、結局1回も社会実装することがなかったという人が結構います。そういう実験化学者に対して少しでも支援したいという思いで立ち上げました。

― 具体的にどのような課題を解決するのでしょう。
白瀧 材料の開発は、設計→合成→精製→加工→分析という過程を何度も繰り返します。その中で我々が着目したのは精製・加工段階で、特に課題となる親和性の部分です。例えば、時間をかけて新しい材料を合成した後、それを溶かす溶媒が必要になることがあるのですが、新しい材料なので前例がなく多様な溶媒を試すしかない。結局どの溶媒にも溶けず、せっかく開発した材料を捨ててしまう、というようなことも少なくありません。「SoluVision」は溶解度パラメータと呼ばれる物理理論に基づき、材料に適した溶媒や精製方法を提案します。最短3分で、実験では実現不可能な約20万通り以上の溶媒の組み合わせから、目的に応じた溶媒を提案することができ、研究開発期間の短縮や新しいアイディアの創出など、日々の研究開発をレベルアップすることができます。

実験化学者同士のコミュニケーションツールとしても活躍。

― 時間短縮の他にもメリットはありますか。
白瀧 あるアンケート調査によると、93%の研究者が親和性で困った経験があると答えており、親和性に関する情報管理は、企業内でも蓄積されておらず、研究者個人のノウハウとなっていることが分かってきました。「SoluVision」を使えば、得られた結果を全てアプリ上で管理することができますし、データの評価や検索も簡単にできます。またアカウント同士でデータを共有することでコラボレーションも可能になり、実験化学者同士のコミュニケーションツールとして活用することもできます。社内の各部門で「SoluVision」を導入し、データを取りまとめるデータマネジメント担当者を配置することで、研究者個人のノウハウのデータ化に繋がり、その後の材料開発を効率化させ、組織全体の開発力を最大化できると考えています。

効率化が進むことで新しい発見や日々のレベルアップに。

― 「SoluVision」に対する反響はいかがですか。
白瀧 徐々に広がっているという実感はあります。上場企業や中小企業、大阪大学や産総研にも導入いただきました。オーストラリアのアカデミアからも問い合わせがきており、今後は世界に向けても事業を広げていきたいと考えています。導入してくださった研究者の方からは、新しいアイディアの発見や日々の検討のレベルアップにつながったというお声もいただいています。また、費用面については、研究開発に用いられるソフトウェアは一般的に高価なものが多く、使いこなすには専門性が求められることが多いですが、SoluVisionではグラフィックユーザーインターフェースにこだわり、専門家でなくても気軽に、かつ安価に使っていただけると自負しています。クラウド型ソフトウェアとして提供しているので新しい研究成果が更新され、常に最新版が使えることもメリットとなっています。

― 事業化に向けて、苦労した部分はありますか。
白瀧 立ち上げメンバーの6人は、私を含めて開発メンバーがほとんど。実際に会社を経営しようとすると、プライバシーポリシーやセキュリティ、営業など、開発だけで終わらない様々な要素が必要になってきます。そこを自分たちだけで埋めていくのはとても難しい中で、今回のハンズオン支援では様々なサポートを受けることができました。具体的にはそれぞれのタイミングで必要な専門家の方々を紹介していただき、展示会では自分たちでは絶対に思いつかないようなバナーデザインを提案していただくなど、いろいろな人の助力を得ることができました。また、大阪トップランナー育成事業の認定による社会的な信用を得られたことも我々にとっては大きかったです。

TURNING POINT「01 Problem」莫大な時間とコストを要する材料の親和性が実験科学者たちを悩ませてきた。>「02 Adjust」開発目的に応じた溶媒や精製方法を提案するクラウド型ソフトウェア「SoluVision」を開発。>「03 Become a business」「材料の親和性」の課題を解決し、研究開発のコストや期間の削減を実現。新しいアイディアの創出に繋がる。

日本の材料業界の競争力向上に貢献したい。

― 今後の展開やビジョンについてお聞かせください。
白瀧 私は大学時代から「科学技術をもとにした新規事業の創出によって人間の行動様式を変える」ということをテーマにしてきました。大学でも学部を超えて一つの社会問題に取り組み、大学と企業との共同研究や、大学院の研究結果をもとにしたスタートアップにも関わってきました。本事業もそのうちの一つであり、材料業界とソフトウェアという部分でも、まだまだ取り組むべきところがあると考えています。また、この業界に限らず、今後様々な場面でデジタル化や AI を使った学びはもはや逃れようがありません。そういった世界の潮流に乗り遅れることのないよう、貢献していきたいという気持ちもあります。将来的には「SoluVision」をナンバーワンの開発支援アプリにしていきたい。今後も実験化学者の方の手助けになるようなサービスを展開することで、国内の材料業界の競争力向上にさらに貢献していきたいと考えています。

希望するマッチング&パートナー例

  • 実験プロセスの効率化に悩む企業(材料メーカー・製造メーカー等)
  • マテリアルインフォマティクスに取り組む企業(製造メーカー等)
  • 販売促進のための連携パートナー(販売代理店、試薬メーカー等)

企業DATA

材料業界の実験化学者に溶媒・精製方法を提案するクラウド型ソフトウェアの開発・提供

株式会社 Material Doors
代表取締役 白瀧 浩志