環境・健康に配慮した洗剤と手法を開発し、清掃業界をエシカルに
フランチャイズ展開を加速させ、ハウスクリーニング業界のエシカル(倫理的)をノーマル(普通)にする
ハウスクリーニング業界の過酷な実態
- プロジェクト立ち上げの経緯について教えてください
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本川
元々は新聞販売店をしており、その副業としてハウスクリーニングの運営をスタートしました。10年くらいやっていると、これは結構課題の多い業界だなと思い始め、そこから「エシカルをノーマルに」という着想を得ました。というのも、ハウスクリーニングに使われている洗剤には劇薬や毒物が多く、手や肌が荒れたり、化学物質過敏症というアレルギーになったり、洗剤が混ざると毒ガスが発生して吸い込みすぎると死に至るなど、健康被害が激しかったのです。10年、15年と仕事を続けると体がボロボロになっていく。これはスタッフに長くさせられる仕事じゃないなと思ったのがきっかけです。
- プロジェクトをどのように進めていったのでしょうか
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本川
まず、どんな洗剤を開発すれば、汚れがしっかりとれてピカピカになって、環境や健康に配慮したものができるのかを探るところから始めました。自分だけでは難しいので、全国のハウスクリーニング会社の社長や、一から洗剤を作っている専門家、環境調査会社の社長、工学博士の先生に声を掛けて別会社を起業。現在、100%エシカルとは言えませんが、オリジナルのバイオ洗剤を開発したり、洗浄技術でカバーしたり、あの手この手を使い、ケミカルを一切使わずに一般のハウスクリーニングと変わらないぐらいにピカピカにできるソリューションを提供しています。また、「10R」というオリジナルのブランドプロミスを掲げ、EVで移動し、道具・ユニフォームはリユース品を使用、道具についてもサステナブルなメーカーにこだわるなど、全方位エシカルなハウスクリーニングチェーンをめざしています。
環境や健康に配慮した洗剤の開発に一年半
- ハウスクリーニングをエシカルにする上で苦労はありましたか
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本川
やはり、環境や健康に配慮した洗剤の開発というのが難しく、開発に1年半ぐらいかかりました。その1年半で900万円の出資金を使い果たし、どうしようか・・・と途方に暮れた時期もあります。ちょうどその頃、納得のいく洗剤が2種類ほど完成していたので、クラウドファンディングサイトで蛋白質汚れが落ちる洗剤を先行販売したところ、1ヵ月で430万円の売上げが立ち、少し息を吹き返して事業を続けることができました。その後、事業も軌道に乗り始め、2023年の夏からフランチャイズの募集を始めました。合計30日間の研修が必要で、研修ができるのが社内に2人だけということもあり、現在は1ヵ月に1店舗のペースで拡大し、今21店舗というころまできています。
エシカルをノーマルにするためには仲間が必要
- どのような企業からの応募があるのでしょう
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本川
新規事業としてハウスクリーニング事業を考えていたという企業や、SDGsやCSRとして何か取り組もうと思っている時に、当社を知ったというケースも多いです。価格競争が激しい業界なので差別化を図りたいハウスクリーニング業者も、もちろんいます。また、私と同じように、スタッフが病んでいくのを見ていられないという社長が「これなら続けられる」と応募してくださるケースもあります。一方で、エコの意識が高いZ世代の採用に向けに導入したい、という企業もあります。
- エンドユーザーのニーズについてはいかがですか
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本川
環境にいいから選ぶというよりは、健康面で選ばれる方が多い印象です。日本人の二人に一人はアレルギーといわれていますし、シニア、子ども、ペットがいる家庭からすると、やはりケミカルな洗剤は避けたい。そういう方々がネットで検索して「エシカルノーマル」にたどり着くようです。私は、最初は健康という入り口でいいと思っています。啓蒙も必要な事業なので、まず知ってもらうことが大切ですから。フランチャイズにしたのは、仲間を増やしていくという意味もありますし、エシカルな価値観を自分ごととして語ってくれる人を増やしたいということでもあります。
業界を超えて、エシカル消費をスタンダードに
- プロジェクトの今後の展望を教えてください
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本川
まずは、仲間となるフランチャイズを増やすことが一番です。次に、ハウスクリーニング業界において、エシカル消費をスタンダードにしたい。買い物をするときに「安い・早い・うまい」だけではなく、その後の影響を考える「エシカル消費」というのがありますが、今はその視点がハウスクリーニング業界にほぼないので、これをまず8割まで持っていく。また、エシカル消費という尺度で選ぶ人が3割を超えると、大手企業が動き出すというデータがあります。自分たちの手で3割まで持っていけたら、がらっと空気感は変わるだろうなと思っています。
- プロジェクトを通じて、どんな未来をめざしますか
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本川
私たちは、たまたまハウスクリーニングをやっていて、そこに知見があり、問題があるとわかったのでこんなことやっていますが、地球全体で見ればこの業界だけがエシカルになってもそれほどインパクトはありません。「エシカルノーマル」というブランドが、ロゴを見ただけで「そういうマークなんだ」という認識が浸透し、ほかの業界にも展開されていくというのが理想。業界を超えて、環境問題に取り組む企業と組み、それぞれの業界で「エシカルをノーマルに」していくという活動が出来たら最高だなと思っています。
希望するマッチング
&パートナー例
- 環境・健康意識の高い不動産会社
- オーガニック食材などにこだわった飲食店
- 環境関連事業を推進している企業
- 健康経営を実践している会社