
研究開発者向けのAI画像解析サービスで画像1枚から世界を創り変える!
研究開発の現場で膨大な時間を要する画像解析。AIによる画像解析により大幅な効率化を実現。製品開発を加速させる産業界のスタンダードをめざす。
PROJECT:
AIが画像解析し、数値化するクラウドサービスを。
- 認定プロジェクトについて教えてください。
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窪内
画像は研究開発を行う上で重要な情報である一方で、画像解析の手法は手作業で時間がかかり、数値化作業に多くの時間を費やしていました。例えば、勤めていた化学メーカーの粒子試料の大きさを測る作業では、月あたり3,200時間、640万円のコストが発生していました。この作業を効率化するために開発したのが、ユーザーが画像をアップロードするだけでAIが画像解析し、数値化するクラウドサービス「GeXeL(ジクセル)」です。「GeXeL」はAIの知識が必要なく、簡単な操作で粒子の大きさや形、色を数値化し、高精度で解析ができます。これまで時間をかけて手動で行っていた画像の数値化を、全自動かつ短時間で行うことが可能で、研究者は本来の創造的な業務に集中できます。また研究者のルーティンワークを減らすだけでなく、インフォマティクスと組み合わせることによって製品開発能力を加速させていきたいと考えています。
- どのようなきっかけで、このプロジェクトを立ち上げたのでしょう。
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窪内
私自身、十年以上研究に携わってきました。以前は化学メーカーで勤めていましたが、実際、モニターに映し出された粒々の粒子の長さを測長ソフトで測っていくというようなルーティンワークが多かったのです。研究者というと面白くて、世の中の役に立つものを創造する仕事と思いきや、面白い仕事ばかりではなかった。もっと創造的な仕事をしたいというところで、こういったルーティンワークを担うAIを作りたいと思ったのが、きっかけです。最初は自分がラクになりたいという気持ちで社内向けのプロトタイプを作っていたのですが、社内で共有すると「これは研究者の中で広く需要があるのでは」という声があがり、2023年7月に会社を退職し12月に会社を立ち上げました。

分野を問わず、画像解析の時間を大幅カット。
- サービスの概要について教えてください。
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窪内
例えばパンの研究開発でお話すると、ふっくらしている、しっとりしているというパンの食感は、気泡の構造数や大きさや密度が影響しているのですが、それらを全て数えるというのは気が遠くなる作業です。現在は職人が目で見て、食べて評価する「官能評価」に頼っていますが、例えばAI画像解析を使えば気泡の数を数値化・客観化してDXにも活用でき、既に食品メーカーにも利用いただいています。さらにはボールペンのインクや、スマートフォンの電池、化学繊維の開発でも画像解析が必要になります。画像であれば分野を問わず分析でき、画像解析の時間を大幅にカットできるわけです。

人の目と脳による判断と同じ精度で解析可能。
- 「GeXeL」には、どのような強みがありますか。
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窪内
まず、画像解析の手間と時間を大幅に削減できるので効率化が可能になります。さらには、データとして蓄積される点もAIを使っていく流れの中で非常に重要になります。AIのシステムを構築するには膨大なデータが必要です。そこで我々は、お客様が利用された画像や一部ネットの画像を二次加工し、多様性のあるデータを生み出す技術プログラムを開発。これを運用することで、データのプールを増やしています。また、ディープラーニングを用いたAIで、境界や輪郭を人間の目と脳で判断するのと同じように学習させており、従来のソフトでは認識しづらかった重なりや曖昧な輪郭もしっかり認識できる精度の高さも強みとなっています。2024年の7月にローンチしたばかりですが、無料のトライアルとして100社以上から申し出がありました。現在の有料顧客は10社ほどですが、今まですごく時間がかかっていたという方から、本当に助かっているという声をいただいています。

- これまで、苦労したことはありますか。
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窪内
よく事業には「人」「モノ」「カネ」が必要といいますが、立ち上げた時にフルコミットしてくれる人はいたものの、モノとカネがない。幸運なことに大阪のアクセラプログラムに認定され、投資家と知り合い資金調達ができたことが会社にとって大きな推進力になりました。これまで非常に狭い世界にいたので、起業家や経営者と横のつながりを築いたり、ビジネス創出の機会が得られることもありがたいです。大阪トップランナー育成事業の支援金も非常に大きな助けとなり、展示会で配布するパンフレットを作成することができました。

新しい価値を社会に「編み込む」。
- 今後のビジョンについて教えてください。
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窪内
「GeXeL」はクラウドサービスのためデータが蓄積されていきます。当たり前ですが、メーカー間でこうしたデータは共有されません。それが、我々のところにデータが集まってくることで各業界のデータベースを作ることができる。そして、サービスの精度もどんどん上がっていきます。今後は我々が提供する業界の総合データにより、各社の製品開発を加速させたいと考えています。KNiT(ニット)という会社名には、「新しい価値を社会に編み込む」という思いを込めました。我々はAIの技術だけを作るのではなく、技術者が今までやってきたデータ化の体系化を行い、データベースを提供することで社会に必要不可欠な存在になることをめざします。

希望するマッチング
&パートナー例
- 画像解析を行う研究開発部門、管理部門、行政、アカデミア
- 製品開発にAIを取り入れて推進したい企業
- 顕微鏡を開発または販売している企業