
出産の「前も後も」いのちがけで未来を育てる女性の健康をサポート
産前産後の女性の抱える課題に向き合い、運動効果の科学的エビデンスを研究・検証しながら女性の健康を全力でサポートする。
PROJECT:
産前産後の「恐怖」や「不安」に専門的に寄り添う。
- 認定プロジェクトについて教えてください。
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西山
妊娠・出産は交通事故に相当するダメージが生じるといわれます。幸せな瞬間の裏には、産前産後の不調や健康課題に悩むお母さんたちの姿があります。産前産後の適切な運動は病気や身体のトラブルを防ぐとガイドラインでも推奨されていることから、「maemo atomo(マエモ・アトモ)」では、助産師と理学療法士が提供する産前産後のお母さんのための運動プログラムや相談サービスを提供。助産師の持つ専門性と高いホスピタリティを生かし、妊婦や経産婦の出産に対する「恐怖」や「不安」に寄り添いながら専門的にサポートしています。
- プロジェクト立ち上げの経緯について教えてください。
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西山
私自身、助産師としておよそ800人の出産に立ち会ってきました。このプロジェクトを立ち上げるきっかけとなったのは、社会人一年目で妊娠中に起こる妊娠高血圧症候群で母子共に亡くなるという現場に遭遇したことです。大きな衝撃と悲しみを感じ、そのリスクを少しでも下げられる方法はないかと探っていくうちに、妊娠中の運動に興味を持ち始めました。例えば、腰痛や骨盤周りの痛みといった妊娠中や産後の不調は、適切な運動をすることで予防したり、改善したりできます。また、高血圧のような合併症も運動することで、発症率を低下させることができるということも分かってきました。そこで、助産師として臨床経験を重ねながらピラティスの勉強などを始め、2021年に「maemo atomo」としてスタジオをオープン。同時に大阪大学の大学院医学系研究科健康スポーツ科学講座に修士で入学し、スポーツや健康に特化した教室で妊娠中の運動と合併症との関連について研究を始めました。現在も博士課程に所属し、研究を続けています。

妊産婦が安心して運動できる環境づくりを。
- プログラムの内容について教えてください。
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西山
現在、大阪にスタジオが二箇所あり、オンラインでも講座を開いています。パーソナルレッスンとグループレッスンがあり、助産師・理学療法士がエクササイズを担当。赤ちゃんの心音を聞いたり、お母さんの血圧を測定したり、始めにメディカルチェックを行い、主治医の運動の許可を確認し、その日のその人の状態が運動できる状態かどうかを見極めた上で適切な運動を提供しています。また、レッスンには赤ちゃんを預かるベビーシッターが常駐し、産婦人科と整形外科と提携するなど、安心して通える環境づくりに意識して取り組んでいます。

今必要な運動を専門家が判断し、提供することの価値。
- どのような方が通われているのでしょう。
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西山
妊婦さん、産後の方はもちろん、将来的に妊娠を考えて体作りをしたいと妊娠前から通われる方もたくさんいらっしゃいます。また、産前から通っていた方の75%は産後のリカバリーとしてレッスンに復帰しています。産後は育児に伴って体の不調も出てくるので、そこも改善していきつつ、妊娠前の状態、それより良い状態の体をめざしていくイメージです。

- オープンして3年が経ちます。どのような手応えを感じていますか。
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西山
需要はしっかりあるなと感じています。妊婦さんは産院でも「運動した方がいい」と言われますが、どれぐらいの運動が自分にとって適切で、お腹の赤ちゃんにとって安全なのかは、なかなか自分で判断するのが難しい部分があります。産前も産後も普段以上に気を使うため、専門家のサポートを求めている人も多い。現在の体を専門家が見て評価して、今必要な強度や動きを提供できるところに価値を感じてくださる方が多い印象です。

産前産後の女性のケアが当たり前になる世の中に。
- 今後、どのようなストーリーを描いていますか。
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西山
産前産後の女性の抱える課題に向き合い、運動効果の科学的エビデンスを研究・検証しながら女性の健康をサポートしていきたいと考えています。エビデンスに関しては、私が所属する大阪大学との共同研究という形で進めています。私たちのプログラムに参加してもらうことで、お母さんや赤ちゃんにどのような効果があるのかを実証していきたい。さらに、このプログラムを必要とする多くの人につなげられる仕組みづくりとして、助産師への教育にも力を入れており、助産師会や助産師を養成する大学などで講義をさせてもらっています。また、助産師も理学療法士も医療現場で働かず潜在している人が半数ぐらいいると言われています。スペシャリストとして妊産婦の運動に興味を持ち、一緒に取り組んでくれる仲間を作っていきたいと思っています。
- 「maemo atomo」がめざす未来について教えてください。
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西山
少しずつ変わってはいますが、妊娠出産に伴う痛みや不調は我慢して当たり前、というような考えが未だに強くあり、女性が我慢を強いられている部分も多いと感じます。お母さんが元気でないと赤ちゃんも健やかに育たないですし、家族も元気に過ごせない。妊娠出産で頑張っているお母さんがしっかり回復できるよう、心身のケアが当たり前の世の中や未来をめざしたいと思っています。

希望するマッチング
&パートナー例
- 少子化対策や子育てサポートに注力している行政・自治体
- 院内の運動クラスをより良いものにしたいと考える産婦人科
- ヘルスケア特に産前産後の時期に関心のある企業