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みんなを笑顔にする仕組みでロス削減を持続可能に

作り手も消費者にもメリットのあるシステムだから、みんなが笑顔になれる。長く続けていける。食品ロスという社会問題の解決にロスゼロが新たな発想で挑戦する。

作り手と消費者をつなぎ食品ロスを削減

― まずはロスゼロのサービス内容についてお教えください。
文 社会問題にもなっている食品ロスをなくすため、食品の生産者や製造・加工メーカーで発生している余剰品・規格外品を買い取って自社のECサイトでオンライン販売するほか、サブスク制の「ロスゼロ不定期便」を運営したり、未利用の食品原料でつくるアップサイクル食品の開発などもおこなっています。

― 余剰品というのは賞味期限切れ食品などですか?
文 いえ、期限が切れる前のものを扱っています。じつは食品流通には1/3ルールという暗黙の決まりがあって、賞味期限1年なら製造から4ヶ月過ぎた製品はメーカーから出荷できなくなるんです。流通や小売で必要となる期間を踏まえた慣習なんですが、賞味期限までまだ8ヶ月あるにも関わらず流通に卸せなくなるんですね。しかもメーカーの多くがBtoBなので直販ルートをもっておらずコストをかけて廃棄するしかない。それをロスゼロが仕入れて、理由に納得してもらえる消費者の方々にお届けするわけです。


使われないまま廃棄される原材料から生まれたアップサイクルスイーツ

ロス削減で社会課題を解決、持続させる秘訣はみんなの笑顔

― このサービスを開始するにあたり、なにかきっかけがあったんでしょうか。
文 ロスゼロをスタートする前にヘアアクセサリーに特化したEC事業をしていたんですが、なにか社会貢献をと考えてサンプル品などをラオスに持っていって子どもたちにプレゼントしたんです。するとみんな大喜びで、日本で使われなくなった製品が途上国の子どもたちを笑顔にできることに気づきました。そこで日本全国から不要になったヘアアクセサリーを回収してカンボジアの職業訓練校で販売し、その売上を訓練費用に充ててもらう仕組みをつくったんです。これをきっかけに、もっとできることはないかと考えてたどりついたのが食品ロスの問題でした。

― 食品ロスを新たなビジネスモデルで解決しようと?
文 ええ。社会課題を解決するためには持続可能でなければいけないと思っています。大義名分も大切だけど、根本にはみんなが笑顔になれるような仕組みが必要だと。不要なヘアアクセサリーを寄付してもらうときも代わりにECで使えるクーポンを発行したんですが、これだと送る人も嬉しいし、うちも集客につながる。ロスゼロを始める前には、カンボジアの学校にトイレを作るための寄付をクラウドファンディングで募り、その返礼に高級チョコレートの規格外品を送るというテストマーケティングをおこないました。想像以上の反響でしたが、ずっと続けるには提供メーカーさんのブランドを毀損しない配慮や、ちょっとお得に美味しいものを食べられるというお客様のワクワク感が重要だと再認識しました。そこを起点にロスゼロをスタートさせたんです。

企業の認識を変化させたブランディング

― ロスゼロの展開で苦労したことはありますか。
文 なにより食品を提供していただくメーカーの理解を得ることですね。安売りのディスカウントショップと同一視されて最初は話も聞いてもらえない。販売する商品を確保すること自体が困難でした。

― その困難をどうやって打開したのでしょうか。
文 ロスゼロの価値をあげるセルフブランディングですね。かつてCSRなどは経営の本筋と離れた部署が担当していましたけど、いまやSDGsは企業経営の根本に組み込まれた取り組みになっています。大企業との協業や自治体との連携協定によって、ロスゼロと取引をすることが社会課題の解決につながるのだと認知されるよう努力しました。そして大きな転機となったのが大丸心斎橋店との協業です。プロパー販売が原則の百貨店にロスゼロがイベント出店、このことが話題になり、大丸の他店はもちろん異業種の大企業からも声がかかるようになりました。お客様にも、ロスゼロが扱う商品の魅力やストーリーをきちんとお伝えしていますし、百貨店に出店したときは割引率などをいっさい表示しませんでした。こうした姿勢から、わたしたちが単なるディスカウントショップではないと理解してもらい、当初数社だった提携食品メーカーもすでに200社を超えています。

ビジネスで「もったいない」をなくしたい

― 大阪トップランナー育成事業に認定されてからの変化は?
文 少人数で事業活動をしていたので、専任の営業スタッフというのがおらず、企業への営業開始からクロージングまでがすごくアナログだったんですよね。そうした点を大きく改善してもらって活動がスムーズになりました。あと、広告というのも、食品メーカーと消費者の両輪で成長していかなくてはバランスが崩れてしまうため難しくて、まったく手つかずだったんです。そこをリスティング広告や食品業界紙への出稿など、さまざまなメディア活用を提案してもらい認知度アップをサポートしてもらっています。

― それでは今後の展望についてお聞かせください。
文 そもそも起業の原点というのは出産後の再就職がうまくいかず、この社会の中で女性の能力が「もったいない」と感じたのが始まりなんです。それならいっそ「自分雇用を創出しよう」と決意したのがヘアアクセサリー特化のEC事業だったんですね。だから「もったいない」を減らすビジネスをこれからもどんどん展開していくつもりです。ロスゼロという名前にあえてフードという言葉をつけなかったのも、そうした未来への可能性を残しておきたかったからです。エシカル消費などを正面から謳うのではなく、みんなが笑顔で暮らしを楽しめば、それが自然と社会問題の解決につながっていく。そんな持続可能なビジネスモデルをこれからも手がけていきます。

希望するマッチング&パートナー例

  • 食品関連事業者(製造~流通)
  • SDGsでの協業を検討する企業
  • 未利用材料が生じている事業者
  • 食品購入を検討する企業

企業DATA

食品ロス削減プラットホーム・ロスゼロ運営

株式会社ロスゼロ
代表取締役 文 美月