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トイレは土地を活かすそこに産業や雇用が生まれる

PROJECT
安全な水と循環型トイレを世界中に
COMPANY
株式会社TI plusホールディングス

トイレは土地を活かすそこに産業や雇用が生まれる

画期的な濾過技術による循環システムで、上下水道設備がなくても快適・清潔な水洗トイレを実現する「エコノワ」。土地に価値を与える技術が新たな可能性を創出する。

トイレからの排水を浄化して循環利用

― まずは認定プロジェクトとなった「エコノワ」の概略をお教えください。
加守 水洗トイレで使用した汚水を濾過して浄化し、これをふたたびトイレの洗浄水としてリサイクルする循環型の水洗トイレです。上下水道の整っていない場所でも仮設トイレのように設置するだけで利用でき、しかも水洗式ですから衛生的で快適なトイレ環境を実現できます。周囲への悪臭の心配もなく、排水を河川に流したりしないため環境への悪影響もありません。


加守氏が手にするのは濾過材となるボルカナイト

― その浄化システムはどのような原理なのでしょうか。
加守 天然成分を原料として開発した多孔質構造のボルカナイトという濾過材を使用します。その微細な孔が微生物に最適な環境を整え、汚物をきれいに分解してしまう。浄化槽内にも汚泥などの残滓はほとんど残りません。汚水がほぼ無色・無臭・無菌な水に浄化されるため、ふたたび洗浄水として利用できるわけです。

断念していた開発を社会貢献のため再開

― 「エコノワ」の開発をはじめた契機についてお伺いできますか。
加守 わたし自身が建設業に携わってきたこともあって、建設現場におけるトイレ環境の劣悪さにはずっと悩まされてきました。なので仮設トイレの改善にはずっと興味があり、ボルカナイトを利用した濾過システムも、じつは15年ほど前に基本形は完成していたんです。けれど当時は浄化槽のサイズが巨大で、なかなか手軽に設置できる規模ではなかったため普及を諦めていた。しかし近年は環境意識が高まり、感染症予防のため公衆衛生の重要性が再認識され、気候変動による水不足への懸念なども拡大しつつあります。日本は水資源に恵まれた国土ですが、それでも夏場には渇水の不安に直面することもある。そうしたなかで、われわれが社会貢献できる技術として、もういちど汚水濾過システムの開発に取り組むことにしました。

― 開発にはどれぐらいの期間を要したのでしょう。
加守 およそ2年以上ですね。濾過材の組成をいろいろと試行錯誤したり、水の流路をはじめ浄化槽の構造を根本的に見つめなおしたり。かなり苦労しましたけど、2年ほど前に現在のようなコンパクト化に成功して「エコノワ」の製品化にこぎつけたわけです。

環境改善から災害対策まで広がる市場

― 製品の市場としてはどのような分野を想定されていますか。
加守 当初の建設現場に限らず、上下水道の整備されていない遠隔地や山間部、あるいは排水の問題から一般の浄化槽を設置できないようなエリアですね。感染症対策の必要な病院や高齢者施設等でも導入はありえると思います。なにしろ一度設置してしまえば仮設トイレのように汚物の汲み取りなどがほとんど不要で、年に一度の簡単なメンテナンスぐらいで手軽に衛生的な水洗トイレ環境を実現できますから。

― かなり広範な市場が予想できますね。
加守 発売後の反響をみても、美観を維持したい観光地から歓迎されたり、緊急災害時の避難部屋やシェルターを製作している会社からOEMの要望があったりと、多方面で意外なニーズが生まれています。移設が可能なため、予期せぬ災害が起こった場合すぐに設置できるのも強みですね。また、農地などでも農地転用許可が必要ないので手軽に設置できるうえ、利用者の満足度も高いと好評をいただいています。さらに、視点を海外に移しても、まだまだインフラ整備が未発達な途上国などで大きな市場があると考えています。

雨水や太陽光の活用で完全な自立型へ

― 今回大阪トップランナー育成事業に応募した理由を教えてください。
加守 最初は、大阪市の認定という肩書のようなものがもらえるというのが魅力でした。こういうインフラ的なビジネスというのは、やはり官公庁や自治体の認定というのは大きいことを実感していまして。まだ発売して日が浅いこともあり、メリットや性能ではまったく劣っていなくても「認定」をうたう一般的な仮設トイレに入札で負けてしまったり。あと<TI plus>というのは、それぞれに基盤となるビジネスを展開している岸和田出身の三人でおこしたホールディングカンパニーです。大阪発のパワーを世間に示したいという仲間との想いに、このトップランナーという制度がぴったりな気がしていました。

― 実際に認定されてからのサポートはどうですか。
加守 われわれでは気づかなかった事業展開の筋道をきちんと整理してくれて、すごく助かっています。今後は、自社販売だけでなく代理店も必要になるにあたって、販売ルートの開拓と並行して労務など社内体制を固めなくてはだめだと。海外市場をみすえているならなおのこと重要な知財など、事業の現状と将来に対して問題となりうる案件をすべて交通整理してくれる。さらに、そこから先のステップとして展示会の活用など明確なスケジュールも描いてくれている。本当にありがたいサポートです。

― なるほど。では「エコノワ」事業の今後の展望についてお聞かせください。
加守 まずは循環型水洗トイレとしてさらに完成度を高めたいですね。雨水を浄化して手洗い水に活用したり、ソーラー発電と蓄電池を利用して浄化槽のポンプを駆動する電力も自力で調達したり。自然の資源を活用して、本当にどこにでも設置できる水洗トイレを実現したい。トイレというのは人々の生活にとって欠かせない存在です。つまり快適なトイレが設置できるというだけで、無人島や僻地など、いままで放置されていた土地を有効活用できるようになる。しかも提供者と利用者、双方の満足度を高めることで、新たな産業や雇用を生みだすチャレンジだと思っています。

希望するマッチング&パートナー例

  • 農家・観光農園・寺院・災害公園管理者等
  • 国内外の販売の代理店企業
  • OEM生産検討企業
  • 医療機関、介護施設等の災害時のBCP対策検討企業
  • 途上国のインフラ整備事業者

企業DATA

排水リサイクルトイレシステムの設計・ 製造・販売事業、杉江能楽堂を活用した社会・文化事業

株式会社TI plusホールディングス
CEO 加守 清孝